「いま会える」アイドル 実在アイドルアニメ少年ハリウッドを全力で紹介する

真面目な紹介記事は以前書いたので、今回私情を交えつつ「第四の壁を破るコンテンツとして秀逸」という観点から書いてみました。

ひとことで言うと「少年ハリウッドは現実」です。なげーよ、と思ったら読むのをやめて以下のURLへ飛んでください。

http://www.starchild.co.jp/special/shonen-hollywood-anime/haishin.html

 

※以下、無駄にゲーム『君と彼女と彼女の恋』のネタバレが含まれる前置きです。飛ばしても大丈夫です。

 

 

実際に買うまで、ずっとタイトルを勘違いしていたゲームがある。

『君と彼女と彼女の恋』というエロゲ―なのだが、私はこれをずっと「僕と彼女と彼女の恋」だと思い込んでいたのだ。

検索もそれで問題なく公式サイトが出てきたため素で気が付かなかったのだが、現物を手に取って初めて「僕」ではなく「君」だと気が付いた。

三角関係もので「僕」でなく「君」、じゃあこのタイトルは一体誰目線なんだよ、と思ったのだが、プレイしてみて合点がいった。タイトルを語っているのはアイツだし、「君」は私だ。私自身だった。

 

私はずっと『ラブプラス』の主人公が嫌いだった。画面の向こうの彼女と恋をするのに、はっきり言って邪魔でしかないのだ。

勝手に喋りカノジョとイチャつくアイツを撲殺してやりたいと思っていたのだが、なんと『君と彼女と彼女の恋』では実際に主人公を撲殺してきたのだ。*1

やたらとくっちゃべる「僕」を金属バットで排除し、美雪はまっすぐに自分を見てくれた。主人公ではなく自分に対して「好き」と言ってくれた。

しかも微妙な台詞回しや趣味等のパーソナルがシナリオ内でランダムに選ばれ、「自分だけの美雪」として存在してくれるという手の凝りよう。

シナリオそのものは自分のような浅はかな俺嫁オタクに対する痛烈な批判であり、単純に「自分に対して話しかけてくれてる!いえー!」と思っていたわけではないのだがそれはそれとして、キャラクターが「自分自身に語り掛けてくる」体験として、『君と彼女と彼女の恋』は強く印象に残った。

もちろん主人公を通り越してこちらへ語り掛けてくる作品はこれに限らない。しかし『君と彼女と彼女の恋』はシナリオ・演出含め、自分にとって最も真に迫った第四の壁破壊ゲーであった。

 

※前置きここまで

 

『少年ハリウッド』は自分にとって、『君と彼女と彼女の恋』と同じジャンルに属する。「は?」と思われるかもしれないが、キャラクターが壁の向こうに実在し、こちらに向かって語りかけてくる、そう思わせてくれるという括りにおいて、自分の中では同じなのである。 

 

『少年ハリウッド』は、アニメであってアニメではない。

一体何を言っているんだという感じだが、簡潔に説明するとこのコンテンツには作中アイドルグループ「少年ハリウッド」は実在するという設定があるのだ。

アニメ本編は「少年ハリウッド」の活動記録であり、声優なんてものは当然いない。イベント等ではキャラクターの友人という体で登場する。

ベストアルバムなどはどこをどう探してもCV表記が無いというこだわりようだ。

 

少年ハリウッドは実在する。この設定を踏まえたうえで全26話を見ると、アニメ全体が少年ハリウッドを実在させるという目標に向かい作られているのが分かる。

1話全体をMステのような1つの音楽番組として演出する(少年ハリウッドはいち出演者にすぎない)など、少ハリには飛び道具的な話がいくつかあるが、それは奇をてらってやっているわけではない。ただそこに存在しているアイドルとして少年ハリウッドを描くためにそうしているにすぎない。

また、そうした特別な回だけでなく、全体において「彼らが存在している」ということに非常に気を配られたアニメとなっている。以下は監督及び原作者(兼シリーズ構成・脚本・作詞)のインタビューだが、この中で語られているようなこだわりが単なる理想でなく、本当に体現されていると感じることが出来た。

 

Q1 第1話「僕たちの自意識」の中でこだわりの描写を教えて下さい。

 

どう表現したら少年ハリウッドのメンバーが僕らと同じ世界に存在しているように感じることが出来るかと毎日考えていました。(中略)それを表現する為の人物造形、美術、色彩、撮影、音、全てがこだわりでした。

 監督 黒柳トシマサ 『少年ハリウッド HOLLY STAGE FOR 49』 第1巻 DVD/BD付属ブックレットより

 

――アニメでは脚本、すべての楽曲の作詞、だけでなくシリーズ構成も担当されています。構成の段階で「彼らは生きている」という部分を、どこまで意図されていたのでしょうか?

橋口:すべてを狙って作ると絶対に破綻するのは目に見えているので、基本的に「私の意図」という意味で我を出すことはできません。(中略)物語を書く時はすべて、その人物がどう動くのか、どう動くのが自然か。それを軸に、存在するであろう正解に向けて進めるだけですね。自分のしたいことは、作品の中ではしないです。

『原宿ガール』から“アニメ×小説×ぜんハリ”プロジェクト、ファンクラブ発足まで、橋口いくよが全貌を語った!【前編】 | ダ・ヴィンチニュース

 

 

こうしたこだわりによって貫かれた1話~25話、そしてその集大成と言える26話を観終わったとき、私は思った。「少年ハリウッドは実在する」と。

 ネタバレになるのであまり具体的なことは言えないが、アイドル「少年ハリウッド」のライブは向こう側だけでなく間違いなく「こちら側」に、自分たちに向かっても届けられている、そう思った。そしてそれ以来、頭のどこかが確実におかしくなった。

メンバー5人分のうちわを購入したときなど、自分でやっておきながら意味が分からなかった。一体それを家に帰ってどうするのか?(飾った)

意味が分からなかったが、ファンになってしまったものは仕方がない。時空の向こうに実在する彼らを応援したくなってしまったのだから。

少年ハリウッドの楽曲の一つ 「NOEL STORY」にこんな歌詞がある。

「聖なる日は 君に会える 絵本の中で手を振る君に NOEL STORY」

「願いひとつ 叶うのなら 絵本の中で笑いかけるよ NOEL  STORY」

この「絵本」を私は勝手に第四の壁的なものの比喩だと思っている(少年ハリウッドはこれまで2度、12月24日のライブを「こちら側」へ届けている)。それを破りこちらへ笑いかける彼らに、手を振り続けていきたい。

 

自分にとって『少年ハリウッド』と『君と彼女と彼女の恋』は同じジャンルで、自分の中で本当に大切に思っている。グダグダと書いてきたが要するに、画面を超えた向こう側と「繋がった」と心の底から思えた、そういう作品なのだ。

 

 

また、第四の壁を破る双方向型コンテンツとして少年ハリウッドを推すうえで、もう一つ大きな理由がある。それは「自分が気持ち悪くても大丈夫」ということだ。

 

「ゲームで遊んでたら、ローディング中に謎のキモオタ映るんだけど」というジョークがある。ネタではあれど、「コンテンツを楽しんではいるが、その自分を客観視するとキモイ」という辛さを感じたことがある人は少なくないだろう。

少年ハリウッドなら、その辛さも乗り越えられる。もちろんキモくなくなる訳ではない。ペンライトを振る自分の姿は確実にキモイ。それでも、たとえ気持ち悪くても良い、少年ハリウッドを応援しても良いと思えるのだ。

 

少年ハリウッドというコンテンツにおける向こう側とこちらの関係性は「アイドル」と「ファン」だ。そこに肝がある。

『少年ハリウッド』13話には「女の子は皆可愛いよ」というセリフが登場し、22話及び小説少年ハリウッドにも、同じ類の台詞が出てくる。

男ならどうなんだ?皆かっこいいよになるのか?というのはさておき、これは現実的な美醜を超えた「ファン」という存在の肯定だ。

たとえどれだけキモかろうがアイドルとファンという絶対的な距離においてアイドルは平等に手を振ってくれるし、笑顔でパフォーマンスしてくれる。

「気持ち悪い人間にも 好きって言える資格があるのがドルオタだ」

とは少年ハリウッドに登場する名場面…ではなく地下アイドルを応援するオタクを描いた真鍋昌平の読み切り漫画『アガペー』のセリフだが、私はアイドルを応援する良さの一つがまさにコレだと思っている。それがそのまま「少年ハリウッド」という作品の良さに繋がっているという訳だ。

 

FC会員向けに現在連載している小説中に、黄色担当であるメンバーがペンライトを夜空に例える場面がある。ペンライトの黄色い星が輝き、客席に命を灯していると。

アイドルを応援しているとき、WUG太田の某シーンのようになっていようがそんなことは関係ない。

自分の振るペンライトは美しい夜空の星の一つとなり、アイドルを照らすのだ。そしてアイドルの輝きは、明るくこちらを照らしてくれる。

「応援している自分が気持ち悪い」。そんな自意識のブレーキを破壊してくれるのがアイドル、そして少年ハリウッドというコンテンツの大きな魅力の一つではないかと思う。キモかろうがなんだろうが、「アイドルファン」として、自分がコンテンツの中に存在することが出来る。そこには確かに自分の居場所があるのだ。

 

ということで「次元の*2壁を本気で超えてくる」「”コンテンツを楽しむ自分を客観的にみるとキモイ”問題を克服できる」という2点から、少年ハリウッドを全力でおすすめしてみた。

 

少年ハリウッドはいます。会いに行けます。今なら無料です。

「いやでもやっぱり男子アイドルは興味ないし…」という人にも、是非一度見てほしい。何故なら彼らは最初からアイドルである訳ではないからだ。きらびやかなアイドルに声援を送る作品ではない。顔がいいだけの1人の人間である少年たちがアイドルになる過程を追いかけるうちに、いつの間にかアイドル「少年ハリウッド」のファンになっている、そういう作品だ。意外とおっさんファンも多い。普通に女子中校生ファンも多い。

ということで、老若男女におすすめの実在アイドルアニメ、少年ハリウッドを見て下さい。

 

 ニコニコ動画等各社にて12月25日 23:59まで無料配信中です。

http://www.starchild.co.jp/special/shonen-hollywood-anime/haishin.html

24日にはラジオライブがあります。 "少年ハリウッドクリスマスイブラジオライブ中継inハリウッド東京「Christmas Eve is you」"

http://www.starchild.co.jp/special/shonen-hollywood-anime/radiolive.html

 

少年ハリウッド期間限定無料配信中!

*1:撲殺していた…と思う。ゲームの性質上一度しかプレイしていないので、以下も含め記憶を捏造している可能性がある。

*2:少年ハリウッドにおいては「時空」と表現する。彼らは「2次元」ではなく違う「時空」に実在するアイドルだからだ