アイドルアニメの革命児?熱くて冷たい青春ドラマ『少年ハリウッド』が面白い!

「1話丸々音楽番組」の衝撃

先日、こちらのエントリがきっかけで少年ハリウッド10話を観た。


少年ハリウッド10話がとにかく凄い!モノクロームさんが熱唱!謎のアイドル高杉ちえりについて調べたらとんでもない事が発覚!? - 淡々とアニメ視聴ブログ


エントリをざざっと読んで、へぇーモノクロームさん出るんだ、くらいの気持ちでニコニコにて視聴。
1話が丸ごと音楽番組のような構成。それは知ったうえで観たのだが、実際に見ると思っていたよりなんだか凄い。
開幕・幕間のしょうもないMCの掛け合い。ガチで歌い踊るアーティスト(しかもなんか体型が妙にリアル)。本当に音楽番組の構成そのものだ。
ニコニコ動画で見ていたのだが、ファンっぽい人達の反応は(アニメの構成への驚きを除くと)”まだかまだか…なんかこっちがドキドキするw…主役達来たー!!頑張れ!!”という感じ。音楽番組を見ているアイドルファンそのものな反応だ。
主人公たちが音楽番組に出る、ではなく音楽番組に主人公たちが出ている。この試みは面白い。楽屋裏さえ一切無しで終わり、エンディングロールは流れていく。それを見て、何故か謎の感動を覚えてしまった。

折しも全話無料期間中、それならばと1話から見た所、その丁寧なつくりに段々と魅せられていった。という事で以下、『少年ハリウッド』をガンガン宣伝していこうと思う。

 

BL枠ではない

ダッサいタイトルロゴ(ごめん)、なんだか濃いキャラデザ、キャラクターは男だけ。BL枠っぽいけどこれ人気でなさそうだな…

夏アニメをチェックしていたとき、このアニメのPVを見てそう思った。だが、それは私の間違いだった。(ロゴはダサいが)
とりあえず、これはBLアニメではない。そして「BLっぽいアニメ」でもない。
恋愛要素は全くないし、なんとなく距離感的にBLっぽい、そういうものでもない。
なのでそういった要素が苦手な人でも楽しめるはずだ。逆にそれを求める人にとっては物足りないのではないかと思う。
キャラクター同士はとても仲が良い。だが、変にベタベタした所が全くないのだ。
キャラ同士でじゃれている時もキャッキャウフフではなく、なんというかちゃんと「馬鹿やってる」感が出ている。
グッドルッキングガイズの顔が近い!みたいなのもあまり無い。
ウォーターボーイズ』のような作品が別に女性向けではないのと同様に、これもまた「青春もの」として、男女問わず観られる作品となっている。

青春を熱く描く

このアニメの何が一番素晴らしいかというと、とにかく直球で「青春」が描かれている所だと思う。
アイドルグループ「少年ハリウッド」のメンバーは、アイドルとしての自分に悩み、それを乗り越えて成長していく。
それ自体は物語としての定型な訳だが、この描かれ方が良いのだ。
先輩アイドル(元アイドル)や他のメンバー、シャチョウとの対話(こいつらがまた結構良いこと言う)を通して、メンバー達は吹っ切れていく。
悩みが「解決する」ではなく、「吹っ切れる」という感じ。それまでの悩みを咀嚼して、振り切って、とにかく走り出す。その姿が恥ずかしくも眩しい。
その姿を観てあ゛あああこいつら青春してんなぁという羨ましさや微笑ましさ、過ぎ去った青春に対する苦さが一気に去来しつつ、ほんの少し感化されて自分も頑張ろうと思える。
アイマスラブライブは泣きながらキャラクターを応援するという不気味なスタイルで観ていたのだが、少年ハリウッドではまた違った形で感情移入できた。

青春を冷静に描く

そしてこのアニメの特徴として、青春ど真ん中を描きつつも、それを客観視する視点をちょいちょい入れてくるというのがある。
それを顕著に表す存在が初代少年ハリウッドだ。主人公達が結成する少年ハリウッドは2代目であり、先代グループが存在する。
当然先代は既に解散しており、引退して結婚&子持ち、大道具に転身、俳優、ソロデビューなどそれぞれ別の道を歩んでいる。お互い連絡はほとんど取っていない。
だが作中ではそれを否定的なニュアンスではなく、それぞれ自分で選んだ選択として、肯定的に描いている。
メンバーの一人、トミーは初代とは違う「ずっとこのメンバーで」という道を夢見ている。だがその夢は叶わないかもしれない。そう思わせるシビアさがこのアニメにはある。
先程書いたように、このアニメでは青春を直球で、熱く描いている。だが同時に青春の「その先」を予感させる、冷静さも持っているのだ。


そしてまた10話へ…

1話から順に話を追っていき、そして2度目の10話視聴。これが1度目と全く見る感覚が違う。
2度目のモノクロームさんも可愛いし、妙にリアルなアイドルちえりさんも面白い。が、それより少年ハリウッドを待ち望む気持ちになるのだ。
出番はまだか、妙にドキドキしてくる。やっと出てきた時の来た!!感はすごい。もはや完全にファン側の心境だ。
初見時は「なんだこのダンスwなんかださいw」だったのが「ちゃんと踊れてる!頑張れ!」になる。既に1度見ているのに、マッキーがトチッたりしないか心配になる。
こりゃあすごいわ。すごい。アイドルアニメ史の新たな1ページとなるかもしれない。いやそんなにアイドルアニメ観てないから分からんのだけど。個人的にはとても新鮮な体験だった。

最後に、このアニメをリアルに応援したくなる理由として「ぶっちゃけ好きな人が少ない」というのがある。
作中で駆け出しのアイドルグループである少年ハリウッドを応援する心境と、お世辞にも人気アニメとは言えない少年ハリウッドを応援する心境がシンクロするのだ。
で、でんでん現象とか言うなよ!MJPの時もそれ言われて傷ついたんだからな!面白いって!面白いんだって!!

という事でどうか、10話だけでも是非見てほしいと思う次第であります。

本日(9/15)までニコニコ等で全話無料配信中。10話は多分22日の22時くらいまで無料配信中。

原宿ガール (ダ・ヴィンチブックス)

原宿ガール (ダ・ヴィンチブックス)

 

 原作・脚本・シリーズ構成の橋口いくよ氏の自伝的な?小説らしい。在庫切れっぽい。元アイドルが描くアイドルアニメ、という点でも新しいのではないだろうか。