エヴァだの滝本竜彦だのに共感して人生詰んだ いつまでも「気持ち悪い」とか言うのやめろよ


現実に帰れない

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 自分みたいな気持ち悪いクズは死んだ方がいいと、ずっと思っていた。

私の好きな作品は、やたらとラストで「現実に帰れ」と促して来る。というか自分が「現実に帰れ」という作品が好きなのだろう。
アニメだとご存じエヴァ旧劇場版(EOE)。ゲームだと『〇〇〇〇』とか。コンティニューしちゃダメなのかよ!
『NHKへようこそ!』(原作)も好きで、ラストは「現実社会の中でなんとか生きて行こうぜ」というメッセージと受け取った。
が、それらの作品を受け取って自分が変われたかというと、ひとっつも変わらなかった。1ミリも。
というか悪化した。「現実社会の中できちんと生きていく」という目標を強く掲げたその反面、大学はしょっちゅうサボっていた。行けなかった。
理想と乖離した現実に、自分はクズだ、ダメ人間だ、死んだ方がいい、という意識は増々強くなっていった。

 

「クソでクズな自分」が現実に立ち向かうことの限界

超人計画 (角川文庫)

こんなクソでクズな自分は死んでしまえばいい、とか考えてちゃダメじゃね?ヤバくね?
と気付いたのは思春期をとっくに過ぎた頃だった。遅い。超遅い。
ヤバくね?と気付いたきっかけは滝本竜彦の『超人計画』。
あまりに強烈な自意識のこじらせっぷりに「こいつぁやべぇ…」と眩暈がした。
自分も自意識をこじらせているが、この人は自分の100倍こじらせている。しかも何故かいきなり「超人」を目指している。
ダメ人間から真人間になるという過程をすっとばしているのか、それともこの人にとってまっとうに生きるというのは「超人」になるに等しいのか。
滝本竜彦はもがいている。超人になろうとひたすらもがいている。その結果はどうだったのか。
私が読んだのは文庫版だったため、その後について書かれたあとがきがついていた。当然読んだ。
……なんというか、その後も滝本竜彦にとっても世界は非常に生き辛いもののようだった。
この辺でうっすら気付く。自己否定から入って現実に立ち向かおうしても、結局上手くはいかないのではないか、と。

 

精神論より方法論

めざせ!ポジティブADHD


もう一つの転機が、ADHDという概念を知った事だった。
何気なくつけていたNHKで、「きらっといきる」という番組をやっていた。障害について取り扱った番組で、その回のテーマはADHD
ADHDの女性が自分の障害(極端に頻発する物忘れやケアレスミス)を話し、更にそれについての具体的な対策を紹介していた。*1
それを見てあまりに自分そのものな症状に驚くとともに、その女性の言葉に目からウロコが落ちた。
彼女はこう言った。「精神論より方法論」だと。
自分はダメだクズだと悩んでも、何一つ改善されない。この言葉を聞くまで、私はそんな単純な事実にさえ気づかなかった。アホである。
自分がどういう方向で駄目なのか、どういう性質を持っているのか。それを「批判抜き」で考え、それに合った対策を考える。
どうやらそうした方が自分は産廃だと考えるよりも100倍マシらしいと、この辺でようやく気付く。

病院に行った結果ADHDではないと言われたが、自分がADHD的気質であると知った事で、少しだけ現実に立ち向かいやすくなった。「脳波に微細な異常があったけど気にする必要はない」とかいう気になる事を言われたけど。

幸いADHDには対策本も多く出ており、先人の知恵も借りられる。これらは自分がどう駄目なのか、弱点を知るための大きな指針になった。

 

認知行動療法

はじめての認知療法 (講談社現代新書)

また、認知行動療法認知療法)の本も役に立った。
エヴァだとか滝本竜彦だとかが好きな奴(私)は、一種のネガティブ中毒に陥っていたりする。
ネガティブに考える事も含めて自分のアイデンティティだと考えているため、ネガティブ思考が自分にとって毒になると分かっていてもやめられないのだ。
そんな奴に「ポジティブになろうよ、君はそこにいてもいいんだ、おめでとう!」なんて本を渡したって壁に投げつけるだけで、何の役にも立たない。
その点認知行動療法は自分の認識を客観的に見て捉えなおすものなので、ネガティブ民にも受け入れやすい。
中二病的メンタルとネガティブさが結びつくと、「ポジティブ思考って要するに何も考えてないんじゃないか?」というような思想に陥りがちだ。が、ネガティブ思考も大概不合理である。自動的にネガティブな発想をしてるだけであんまりよく考えてない。それに気付けた。

それでもやっぱりどうしてもネガティブ寄りになってしまうけれど、その辺はもう諦めた。いつだって客観的で中立な思考が出来る人間なんていないんだよ!(逆ギレ)


エヴァからヱヴァへ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 式波・アスカ・ラングレー ジャージVer. (1/7スケール PVC製塗装済完成品)

※ちなみに全てアフィリエイトではないです

今でもエヴァが好きだ。特に旧劇。何回見てもぼろ泣きする。ちょっとどうかと思う。
そしてアスカが好きだ。「でも自分が一番イヤ!」というアスカを抱きしめたくなるのは多分自分自身を抱きしめたいからだ。
でもヱヴァも好きだ。Qだって好きだ。式波は空の浴槽に入ったりしない。リツコはゲンドウを捨てた。ミサトは父の仇がどうとか言ってられなくなった。
そうせざるを得なくなったという悲しさはあるが、なんにしてもみんなメンタルのヘルスを患っていない。(※TVシリーズ比)
渚カヲルすら「生と死は等価値」とか言わなくなった。シンジさんもあんまり内省的じゃなくなった。*2
私も自分なんて死ねばいいと思うのをやめた。そして今は何をしているかというと、それは、その、フリーターである。


結局現実には向き合いきれていない。ただ、生きるのは物凄く楽になった。それと若年性アルツハイマーではないかと疑う程酷かった物忘れが何故か改善された。
少し長い文章になってしまったが、言いたい事はひとつ、自分の事を「気持ち悪い」なんて思ったっていい事ないよ。それだけだ。

 

 

*1:慌てない慌てない一休み♪フロンティア★ADHD こちらのサイトを運営している「あーさ」氏が出演されていた

*2:なんだかんだQはシンジさんだよねあんま内省的じゃないよねという感想記事があって面白かったのだが探しても見つからず…